業績の奥に在る森羅万象(前半)

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自分探しの旅・田久保剛

【『自分探しの旅』を初めから読む】

《第26話》

私の「自分探しの旅」は、ある側面において、この時代のクライマックスに近づきつつある。

しかし、ここでのクライマックスは、私の更なる「心の旅」への第一ピリオドに過ぎない。

次なるステージを迎えるため、そして完全に自己の崩壊に至るために、私はこのステージで恐ろしいほど強靭な自己を確立していくことになるのだ。

そして、その過程がどれだけ重要な意味を持つのか、それは今、こうして自分の体験を振り返ると見えて来る、壮大な神のオブジェに示されていると感じている。

ストーリーはまだ、私が少しずつ自己を確立し、ようやく一人歩きを始めた頃の話である・・・

北野氏が外交セールス部門の本部長として就任した、初出社の日。

朝のミーティングを会議室で行うといわれ、指定時間の1~2分前に会議室に入ると、北野本部長はすでに会議室にいた。

そしていきなり、

「お前ら!何時だと思ってるんじゃ!

営業マンは客先に、最低5分前には着いてなきゃだめだ!会議もおんなじじゃ!ぎりぎりに来るとは何事じゃ!」

と、強烈な怒号で一喝。

なんとなくマンネリの、和気あいあいムードに慣れていた私たちは皆、北野本部長の登場で「いよいよこのムードとも決別だな……」そう思った。

どうしたって気合いを入れざるを得ない。

しかし、そんな甘ったるさに執着している暇もないほど、北野本部長は熱く、しかも反発を湧かせるよりは、魂を揺さぶり、奮い立たせるようなパワーがあった。

だから、北野本部長の登場に怖気づいて辞める者もいなかった。

部の結束を強化する一環で、事業部の名称も変わった。

朝も何となく各々のペースで業務を開始していたが、北野本部長の登場で朝礼も変わった。

毎朝、北野本部長から目標に対する檄が飛び、朝礼の締めには、その日の朝礼担当者が、新たに掲げた事業部のスローガンを気合いをこめて読み上げた。

たまたま、初日の担当は私になった。

私は、北野本部長の気合いに負けないよう、パワー全開の大きな声でスローガンを読み上げ、事業部の全メンバーがそれに続いて読み上げた。

その声は、広いフロアー全体に響き渡り、当時、隣接していた電話営業部門にも当然届いた。

朝礼中の電話営業部門の社員が、その気合いに圧倒されたように、一斉にこちらを振り向いたのがわかった。

それはまるで、北野軍団、新生「外交セールス事業部」時代の幕開けの、号笛のようだった。

私は、北野本部長から、世界一のセールスを学び、今度こそ、社内でのB商品課の圧倒的地位を本当の意味で確立し、今井次長へ恩返しがしたいと思った。

この頃、A商品課の田島部長が、事業部内の現状を北野本部長に伝えていた。

しかし、B商品課は私を入れて僅か数名の弱小部署。

A商品課は、事業部内の人数の大半を占めていたため、北野本部長は最初、「外交セールス事業部=A商品課」と思っていたようだった。

私は丁度、北野本部長が来る直前に昇格規定の実績をあげて、主任から課長代理という役職に就いたばかりだった。

しかし、北野本部長にとってはB商品課そのものの印象があまりに薄く、私のことも、どこに所属しているのか、認識されていないような印象だった。

そんな状況の中、私は新事業部の立ち上がり初月、いつも以上の好成績で、事業部内のトップになった。

北野本部長が最初のプレゼンで見せてくれた営業ノウハウを、早速、B商品課のプレゼンやセミナーに導入したのだ。

当然、北野本部長も、私の存在に目を向けるようになった。

少しずつ、B商品課はどういう部署なのかを認識し始め、私に対しても、B商品課の責任者としての立場で接してくれるようになっていった。

ある日、私と北野本部長の信頼関係を一気に高めた、驚くような出来事があった。

北野本部長から、順調に売上を伸ばす私に、朝礼でその経緯をスピーチするように言われた。

私は、自分が営業をする上で意識していること、心がけていることをみんなの前で話した。

すると北野本部長が、

「田久保は凄い!こんな心構えで営業し、これだけ実績を上げている奴はわしも見たことない!みんな田久保課長をみならってくれ」

と大絶賛してくれた。

私はとても嬉しかったが、驚いたのはこの先だ。

A商品課の田島部長が、

「北野本部長、田久保君は課長ではなく、先日やっと課長代理になったばかりなんです……」

と訂正をした。

その言葉を受けて応えた北野本部長の台詞は、今でも鮮明に覚えている。

「誰が代理じゃい!田久保はB商品課の責任者じゃろうが!それが代理とは何事じゃ!

これだけ立派に責任を背負って実績を上げている田久保は代理じゃない!課長じゃ!わしが任命する!

そうは言っても、本来であれば役職に就くためには、会社の規定というものがある。

しかし、田島部長が会社に掛け合ったところ、

「事業部の人事は100%、北野本部長の意向どおりに従う」

と、あっさり了承を得てしまった。

まさに鶴の一声だった。

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