
【『自分探しの旅』を初めから読む】
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「チャネリング ~バシャールと日月神示~」(前半)
無気力になってしまった過程には、色々な心の変化があって、一言には語り尽くせないのだけれど、
その背景にあった根本的な要因には、やはり卒業の頃に抱いた純粋な思い、
「社会人ってなんだ?」
という疑問に対する答えが見いだせないまま、社会に出てしまったことがあったように思う。
充実した大学生活を終え、社会人生活、特に、同じことを繰り返す毎日というサラリーマン生活への転換期。
それはまるで少年の頃に、夏休みが終わり、またしても嫌で仕方ない学校へ、毎日決まった時間に行かなくてはならない日々が訪れるに似ていた。
コンプレックスだらけだった少年の頃の自分には、学校の授業は苦痛以外の何物でもなかった。
サラリーマン生活への疑問は、そんな少年期のネガティブな感覚を彷佛とさせた。
仕事を通じて、少年期や学生時代に培った経験や、自分の内に秘められた無限の可能性を開花させ、社会に貢献し、それが自分の生活の糧となっていく様を全く想像出来なかった。
とにかく、卒業したら「滅茶苦茶だったけど楽しく充実した大学生活」にサヨナラして、
「サラリーマンになって働かなければならない」
「今までとは一線を画して我慢の生活をしなければならない」
という義務感に近い感覚で就職してしまったのだ。
そんな嫌な気持ちを抱えたまま仕事をしたって、良い現実が現される訳がない。
「原因と結果の法則」の通りに現れた、自分の目の前に展開される現実が、嫌で嫌で仕方なかった。
学生時代の友人と会って飲んだり、遊びに行ったり、後輩のプロレスの試合を観に行ったりするたびに、ほんの一年前の自分の充実した時代に対する強烈な憧れと、懐かしさで胸が痛くなった。
そして、会社では「営業に出かける」と言っては、山手線に乗ってぐるぐるしながら読書に没頭した。
当時の私に大きな影響を与えた精神世界の本の一つに、「バシャール」や「日月神示(ひつきしんじ)」といった、チャネリングや啓示の本があった。
他にも、成功哲学や自己啓発系の情報にも沢山の影響を受けたのだが、その辺りは、この後に私が進んだ方向に深い関わりがあるので、そちらで詳しく話そうと思う。
知らない方のために「チャネリング」とは何かを簡単に説明すると、「高次元」の存在(宇宙存在、高次存在、といった言葉で表現される。その表現は様々)が、霊媒師のような人物などを通じて降臨し、メッセージを伝えるといったもの。
それらの真偽については色々と思う人もいるかもしれないが、少なくともそこに書かれたメッセージは、私に多くの心の変化を与えてくれた。
日月神示に関しては、神道や宗教の分野にはあまり興味はなかったが、こういう啓示が元となって体系化された教義があるんだ、という、心の世界への理解の一つにはなった。
また「バシャール」は特に、手に入る本は全巻を求め、隅から隅まで読みあさり、何度も線を引っぱってボロボロになるまで読み込んだ。
とにかく読んでいるだけで気分が晴れるというか、自分を現実から逃げさせてくれる、最高の本だった。
毎日が無気力無感動の自分に、
「とにかくワクワクすることをしましょう」
と語りかけてくれていたのだから。
そこに書かれた言葉の本質も理解出来ず、ただ「ワクワク」という言葉の響きに魅了され、
自分の心が一人で勝手に作り上げたワクワク教団に、自ら洗脳されていった。
「ワクワクして金も自由も手に入るんだったら、いったい何のために嫌々ながら、サラリーマンなんてやっているんだ?
勇気を持て!ワクワクすることをやろう!
世の中のほとんどの人はこの事実を知らなかったり、勇気がないから嫌な仕事に我慢しているんだ!
俺はワクワクをやるぞ~」
などと本気で思っていた。