象と解って匕首で向かう 〜『サンクチュアリ』(聖域)に隠された神の視点〜(前半)

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自分探しの旅・田久保剛

【『自分探しの旅』を初めから読む】
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●◎○●コラム[心の旅の協力者]●○◎●
– 4 –

「サンクチュアリ… 聖域」
(前半)
「田久保君、サンクチュアリって知ってるか?」

「いいえ知りません」

異動して間もない頃、私と今井次長とで交わされた会話だ。

この会話に出て来る「サンクチュアリ」とは、史村翔原作・池上遼一作画の、今井次長の愛読マンガだ。

「へぇ~、知らないんだ……

えええ!!!! し、知らないぃ~~!? 田久保くん、そりゃ~まずいだろ~」

「えっ、何なんですか?」

「ま、まずはその辺りから、覚えてもらわなきゃならないみたいだな・・・」

この「サンクチュアリ」というマンガは、少年時代にカンボジアでの戦乱を脱し、日本へ帰国した北条彰と浅見千秋の二人の青年が、世の中の表と裏「政治家」と「ヤクザ」の世界に身を投じ、日本の腐敗した政治体制を変革していく物語。

若干20代の二人が、絶対不可能と思われる局面に幾度もぶつかりつつ、表と裏のそれぞれの立場から、国を変えるべく立ち向かう姿が描かれている。

この二人の生き方、その様々な局面で交わされる言葉がとてもカッコいいのだ。

私の向かいの席に座っていた今井次長は、時折、仕事中にも関わらず突然バサっと立ち上がり、パーテーション越しに私を見ながら、この「サンクチュアリ」のセリフを吐いて私に聞かせては、満足げな顔をしていた。

「まあ、貸してあげたいとこだが、今、三十数回目を読み返していて、昨夜も読みながら大号泣していたところなんだ……。

今夜も続きを読むから、少ない給料で大変だろうが自分で買ってくれ。

それにしても、サンクチュアリを知らないとはな…。うゎ~、マジかよ…。先が思いやられるなぁ……。

じゃ、俺は、サンクチュアリの続きを読むから、今日はこの辺で」

そう言い残して、今井次長は19時過ぎにオフィスを去っていく。

電話営業部門から外交セールス部門に異動した私は、そのあまりの文化の違いに驚いたが、

一方で、このとても気さくでユニークな今井次長の下で働くことは不思議な心地良さがあり、その生き方や考え方に、半分は失笑しつつ影響を受けた。

今井次長がこよなく愛し、号泣させられるという「サンクチュアリ」にも、私は当然興味を抱き、会社の帰りに買って読んだ。

そこに描かれた若い二人のカッコいい生き様に、私も共感を覚え、はまっていった。

出社すると、「どうだ、どこまでいった?」と決まって今井次長が尋ねて来る。

「ええ、○○の辺りです。すごい展開になってきましたね」

と答えると、

「おお、そうか!…ううっ、ということは…実はあの後、○○が・・・」

と話し出すので、

「ちょ、ちょっとネタばらししないで下さいよ!」

と慌てて自分の耳を塞いだりした。

私の後に、今井次長の率いる外交セールス部門B商品課に加わった2名の新人も、私と同じように、当時、今井次長から多くの影響を受けたことは間違いないであろう。

私たち4人は本当に結束が固く、同じ感情を共有し、同じ方向に向かって進んでいた。

いつも冗談を言いつつも、成績の面では妥協を許さない、互いに切磋琢磨できる素晴らしい仲間達だった。

今、あの頃を思い返すと、大学時代とはまた違った意味での「青春時代」だったと思える。

懐かしくて、ワクワクとした楽しい思い出が、次々と蘇って来る。

私たちの間では、今井次長を真似て、「サンクチュアリ」の中のかっこいいセリフを引用しては、課を鼓舞しあって盛り上がる、という「遊び」が流行った。

いや、当人たちは半分は遊びではなく、それなりに真剣だったのだが、

今になってあの頃を振り返れば、それはサークル活動のような、楽しい「遊び」に近い感覚だった。

そこはまるで、少年の頃に「秘密基地」で遊んだ、仲間だけが入れる特別な場所のような、私たち4人にしか理解できない、聖域とも言える場所だった。

その頃、良く私たちが引用した、今井次長のお気に入りのセリフがあった。

そのセリフが描かれたシーンの背景はこうだ。

極道の道を歩む北条彰が、その若い斬新な手腕を駆使し破竹の勢いで勢力を拡大。

神戸の巨大勢力の長にあいさつ(宣戦布告)をする場面。

若い勢いで乗り込んできた北条に、巨大勢力・神戸山王会の総長、老齢の緒方がこんな言葉を投げかける。

「いくら若く強くとも匕首(※)で象は倒せない…」

※匕首=あいくち。つばのない短剣。懐剣の類。

しかし、そう諭す緒方に、北条は関東(自分のなわばり)から手を引く様、きっぱりと言い放ち、宣戦布告をする。

北条が去った後、怒りに満ちた緒方が、

「若造が… 象と解って匕首で向かって来るか………」

とつぶやく。

今井次長以下、私たち4人は、巨大勢力に対し、自分の非力さを自覚しつつも、自らの信念を貫き、立ち向かっていく北条の生き様に、強烈な魅力を感じた。

そして、この「象と解って匕首で向う」という言葉の意味に、自分たちの姿を重ね合わせた。

B商品課に比べて、営業活動の上では絶対的に条件の良いA商品課、そして、圧倒的存在感を誇る電話営業部門に対し、

社内ではその存在すら認識されていないような弱小部署の私たちは、自分たちの姿を、若輩者からのし上がった北条の姿に投影したのだ。

悔しい思いをしてきた今井次長に花を持たせ、自分たちも栄冠を勝ち取るために、

「今にみてろ!俺たちは絶対に這い上がって、社内で圧倒的な存在感を示してやる!」

そういう情熱で身を震わせ、共に拳を握りしめた。

まさに、最も敬愛し信頼する親分に、必死に手柄を献上するヤクザの子分のような気概だった。
(私は、ヤクザをやったことはありませんが……)

こういう、何かに闘志を燃やす強い情熱や、ワクワクとした高揚感などが伴った時、人はとてつもないパワーを出す事がある。

この頃の私たちが、まさにそうだった。

このパワーの源にある感情は、一体何者なのだろうか。

なぜ、そのような強い感情が、通常ではあり得ないほどの、大きな力を引き出すのだろうか。

改めて考えてみた。

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