
《第2話》
高校生の頃、ふと、
「自分は何者なんだ?」
という疑問が浮かび、
「きっと自分には中心があるはずだ」
「心の中にコアがあるはずだ」
そんな考えが突然浮かんだ。
もう大昔なので詳細は忘れたけど、とにかく今後の人生において悩んでいた。
勉強も出来ないし、スポーツも出来ないし、勉強して大学に行くもんだと教えられてきたけど、何をしに大学に行くのかもわからないし。
確か、そんな将来への不安と、何かにつけて心配や悩みを抱えてグラつく自分を救いたい!
という一心から生まれた発想だろう。
そして、
「その答えが書かれた本があるに違いない!」
そう思って、地元、高崎で当時一番大きかった新星堂書店に駆け込んで、とにかく書店の隅から隅へと、書棚を左から右へ・・・
「自分とは何か」
「心の中心とは?」
「本当の自分とは?」
そんなキーワードで本を検索したのが、私の、心の世界との関わり、「自分探しの旅」のスタートだった。
(当時は、インターネットなどなく、当然Amazonもないので、情報を探して本を求めるのは、こんな感じでした…)
悶々と悩んでいた高校生時代。
そして、自分を「心の世界」に没頭させた要因は、将来への不安から自分を救いたい気持ちの他に、もう一つ、強烈なコンプレックスがあった。
恐らく、誰でも思春期には、多かれ少なかれコンプレックスを持つのだと思うけれど、私の場合、勉強も苦手、スポーツも嫌い、そして容姿も、性格も、全てが大嫌いだった。
そんな中でも、特に強烈なコンプレックスだったのは、
「背が低い」
ということだった。
高校生になっても「こんなに背が低い」自分は、当時、すでに親の身長を抜いていた。
つまり、「これからまだ伸びるかもしれない」という僅かな望みすら、見事に打ち砕かれていた訳だ。
当時は、「背の低い両親の遺伝のせいだ」って、ずいぶん親に悪たれをついたものだ。
雑誌の怪しげな広告を見ては、背を伸ばすノウハウと何時間もにらめっこし、買おうか、買うまいか、真剣に悩んだ。
シークレットシューズ購入も、何度真剣に考えたことか。
「このままじゃ彼女も一生出来ないし、男からもこの先一生、馬鹿にされるに違いない」
そんな暗い青春時代を送っていた私は、その反動で、「強い男」に強烈に憧れ、高校時代は空手部に入部。
だが実は、私が本当に憧れていた世界は、当時、大流行だったある特異な格闘技(?)だった。
そして私は大学時代、その特異な世界に自ら身を投じることになった。