《第25話》
北野氏の登場は鮮烈だった。
ある日、外交セールス部門全員が、会社のセミナールームに集められた。
そこで、初顔合わせの意味を込めて、北野氏の演説が行われることになったのだ。
ライバル社で伝説ともうたわれた、元セールス世界チャンピオンが、自分たちの新たなボスになるということで、セミナー会場は期待と緊張感が漲っていた。
やがて会場に、髪をビシッと整え、小柄で少し小太りの人の良さそうな、しかしキリッとした風格のある年輩の男性が、バリッとしたスーツをまとって登場した。
《第25話》
北野氏の登場は鮮烈だった。
ある日、外交セールス部門全員が、会社のセミナールームに集められた。
そこで、初顔合わせの意味を込めて、北野氏の演説が行われることになったのだ。
ライバル社で伝説ともうたわれた、元セールス世界チャンピオンが、自分たちの新たなボスになるということで、セミナー会場は期待と緊張感が漲っていた。
やがて会場に、髪をビシッと整え、小柄で少し小太りの人の良さそうな、しかしキリッとした風格のある年輩の男性が、バリッとしたスーツをまとって登場した。
《第24話》
外交セールス部門B商品課は、確実に力をつけ、
それまでは社内で存在すら知られていなかった様な状態から、A商品課とも対等に張り合うぐらいの業績を上げていた。
その頃、A商品課に異動した赤坂君の代わりに、新しく長沢さんが入社。
この長沢さんもユーザーとして商品をこよなく愛し、その点でウマがあったのか、すぐに違和感なく溶け込んだ。
そんな、順風満帆と思えたこの時期、その事件は起きた。
【『自分探しの旅』を初めから読む】
=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=
この「サンクチュアリ」の他にも、世の中には、人の心を魅了して止まないストーリーが沢山存在する。
そのストーリーの背景に多くあるものは、神話に起源を置く「ヒーロー」の存在だ。
【『自分探しの旅』を初めから読む】
=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=
「いいえ知りません」
異動して間もない頃、私と今井次長とで交わされた会話だ。
この会話に出て来る「サンクチュアリ」とは、史村翔原作・池上遼一作画の、今井次長の愛読マンガだ。
「へぇ~、知らないんだ……
えええ!!!! し、知らないぃ~~!? 田久保くん、そりゃ~まずいだろ~」
「えっ、何なんですか?」
「ま、まずはその辺りから、覚えてもらわなきゃならないみたいだな・・・」
《第23話》
「田久保は外交セールス部門のトップセールスマン」
そういうイメージは、徐々に定着していった。
私が電話で成約する姿を見て、「やり方を教えてくれ」と言って来るような人も出て来た。
私は当初、
「絶対に、条件の悪いB商品課で、今井次長を持ち上げ、花を持たせるんだ!」
そんな気概で営業を行い、その成績をキープし続けた。
《第22話》
例えば、物理の世界でも、音叉は目に見えない空気の振動によって離れた音叉に共振を起こして共鳴する。
また、私は父の影響で中学生の頃、無線の免許を取得し、目に見えない電波が世界を駆け巡る様を実体験した。
私は物理学を本格的に学んだわけではないので、その理論と私の確信がどれだけ合致しているのか、私にはわからない事を予め断っておく。
しかし、量子物理学、波動理論、素粒子論、共振共鳴、類が友を呼ぶ法則……
どれをとっても私の中にある確信を的確に表現していて、うなずくしかない。
私の中には、そういう論理的な理屈を超えた確信がある。
《第20話》
外交セールス部門の直販の営業スタイルは、前回もお話したとおり、電話営業部門のスタイルとまったく違う。
最も違う点は何かというと、顧客名簿の存在だ。
《第19話》
ある日突然のように知らされ、まったく前触れもなかった、異例の人事異動。
電話営業部門から見れば、非常に肩身の狭い外交セールス部門の中でも、さらに存在感のない課に異動した私は、電話営業部門の同僚からは、「成績が悪くて、閑職に飛ばされたかわいそうな奴」という目で見られていた。
しかし実際は違った。
《第18話》
その後、山川本部長に呼び出された。
「俺は出したくなかったんだが、他部署からどうしても君を欲しいと言われ、しかたなく今回の異動になった」
と言って、新しい異動先の上司を紹介された時には、
「嘘をつけ!どうせ俺が泣かず飛ばずの売れないやつだから、他の部署に飛ばしたんだろうが!!」
と心の中で思っていた。
《第17話》
この能力開発教材を販売する会社に入社が決まった時、採用決定の電話を受け取ったのは、スキーレジャーに出発する直前だった。
つまり、季節は冬。
あれから、季節は巡り、厳しい営業の世界で耐え抜き、再び冬がやって来た。
その知らせは、12月のある日。