自分探しの旅・田久保剛

【『自分探しの旅』を初めから読む】

《第15話》

ビギナーズラックで新人一番乗りを果たした後、同期がどんどんと売り上げを伸ばす中、頑張っているのに一向に売れない日々が続いた。

以前の無線機メーカーにいた頃のように、さぼっていたから売れなかったのではない。

それどころか、朝から晩まで電話をかけ、休みの日も出勤して、かなり真面目にやっていた。

ここで私がなかなか成績を上げられなかったことは、実は後に、大きな意味を持つのだが、その時は当然、そんな先のことなど分からない。

頑張っているのに報われない……

そんな日々が続いた。

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