自分探しの旅

シフトする意識…求心力と遠心力(前半)

自分探しの旅・田久保剛

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《第32話》

私と東山さんは、共に北野本部長に惚れ込んでいた。

もちろん、私たちだけでなく、外交セールス事業部の中で、北野本部長の求心力と部内の結束は、とても固かった。

しかし、特に私たち二人は、北野本部長に可愛がられた。

その時代、北野本部長と東山さんと私は、3人で良く飲みに行き、仕事や営業について何度も熱く語った。

私たち二人にとって北野本部長は、既に上司としての域を超え、無条件に信頼できる“親父”のような存在となっていた。

「俺、北野さんが強盗をやれと言ったらやれますよ」

そんなことを本気で口に出していた。

そんなある朝、大事件が起きた。

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使命に導かれる出逢い 〜『因と縁』〜(後半)

自分探しの旅・田久保剛

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●◎○●コラム[心の旅の協力者]●○◎●
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「因と縁」(後半)
(前半より続き

仏教の世界でよく使われる「因・縁・果」という言葉がある。

私は、仏教について深く語れるほどの豊富な知識を持ち合わせている訳ではないが、この3つの言葉の奥に秘められた意味を、このように解釈している。

「縁」とは、その存在だけでは自分にとって意味を成さないこともあるが、自分の中にその縁に反応を起こす「因」が存在すると、花が咲き、やがて「果」となる。

「縁」とはすなわち「自分自身に出逢うこと」なのだ。

自分の中に「因」があるのだから、その必要な「縁」に反応を起こすタイミングは、自分自身が決めている、と言える。

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業績の奥に在る森羅万象(前半)

自分探しの旅・田久保剛

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《第26話》

私の「自分探しの旅」は、ある側面において、この時代のクライマックスに近づきつつある。

しかし、ここでのクライマックスは、私の更なる「心の旅」への第一ピリオドに過ぎない。

次なるステージを迎えるため、そして完全に自己の崩壊に至るために、私はこのステージで恐ろしいほど強靭な自己を確立していくことになるのだ。

そして、その過程がどれだけ重要な意味を持つのか、それは今、こうして自分の体験を振り返ると見えて来る、壮大な神のオブジェに示されていると感じている。

ストーリーはまだ、私が少しずつ自己を確立し、ようやく一人歩きを始めた頃の話である・・・

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ゆでガエルには燃える炎を

自分探しの旅・田久保剛

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《第25話》

北野氏の登場は鮮烈だった。

ある日、外交セールス部門全員が、会社のセミナールームに集められた。

そこで、初顔合わせの意味を込めて、北野氏の演説が行われることになったのだ。

ライバル社で伝説ともうたわれた、元セールス世界チャンピオンが、自分たちの新たなボスになるということで、セミナー会場は期待と緊張感が漲っていた。

やがて会場に、髪をビシッと整え、小柄で少し小太りの人の良さそうな、しかしキリッとした風格のある年輩の男性が、バリッとしたスーツをまとって登場した。

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一瞬早すぎず一瞬遅すぎもしない時に…

自分探しの旅・田久保剛

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《第24話》

外交セールス部門B商品課は、確実に力をつけ、

それまでは社内で存在すら知られていなかった様な状態から、A商品課とも対等に張り合うぐらいの業績を上げていた。

その頃、A商品課に異動した赤坂君の代わりに、新しく長沢さんが入社。

この長沢さんもユーザーとして商品をこよなく愛し、その点でウマがあったのか、すぐに違和感なく溶け込んだ。

そんな、順風満帆と思えたこの時期、その事件は起きた。

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象と解って匕首で向かう 〜『サンクチュアリ』(聖域)に隠された神の視点〜(後半)

自分探しの旅・田久保剛

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●◎○● コラム[心の旅の協力者]●○◎●
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「サンクチュアリ… 聖域」
(後半)
前半より続き)

この「サンクチュアリ」の他にも、世の中には、人の心を魅了して止まないストーリーが沢山存在する。

そのストーリーの背景に多くあるものは、神話に起源を置く「ヒーロー」の存在だ。

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